自動運転技術の最前線:2025年、レベル4実用化へ大きく前進

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自動運転レベル4サービス、全国展開へ加速

自動運転技術が、いよいよ私たちの生活に実装される段階に入った。政府は2025年を自動運転レベル4の実用化の一つの区切りとして位置づけ、全国各地での実証実験と実用化に向けた取り組みを加速させている。近年、様々な行政機関や民間企業が協力し、自動運転技術の開発が進められており、政府は2025年を自動運転レベル4の一つの区切りとし、体制の整備や道路・システムの研究開発などの取り組みを実施している。

2023年5月には福井県永平寺町でレベル4による移動サービスが日本で初めて開始され、2024年6月には羽田みらい開発株式会社が民間初のレベル4シャトルバス運行許可を取得した。レベル4の実用化に向けた取り組みは着々とその数を増やしており、レベル4の乗用車はまだ存在しないものの、2023年5月には福井県永平寺町にてレベル4のカートによる移動サービスが開始し、2024年6月には羽田みらい開発株式会社が民間初のレベル4のシャトルバス運行許可を取得した。また、政府は2024年度内に国内約10か所でレベル4の自動運転サービスを実施する方針を示している。2024年7月31日、当時の岸田首相が記者会見で、ルート・速度などの特定の条件によってドライバーが不要となるレベル4の運転の公共交通サービスについて「全国各地の取り組みを順次レベルアップしていく」と述べ、レベル4の自動運転の運航を全国のおよそ10ヶ所程度に広げていく方針を明らかにしました。

トヨタ、お台場エリアでレベル4自動運転サービス開始へ

国内自動車メーカーの中でも、自動運転技術開発の先端を走るトヨタ自動車は、2024年に東京・お台場エリアで自動運転レベル4サービスを開始する準備を進めている。また、ソフトバンクとの合弁MONET Technologiesが、2024年夏頃に東京都内のお台場エリアでレベル4移動サービスを見越したサービス実証を開始する見込みだ。

トヨタは2018年に発表した「e-Palette Concept」を活用したサービス実証を進めてきた。この車両はレベル4相当の技術搭載を想定したコンセプトモデルとなっている。電動化、コネクテッド、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EVで、移動や物流、物販などさまざまなサービスに対応できる自由度の高い室内空間を有する。東京オリンピック・パラリンピックでの活用を皮切りに、東京臨海副都心や愛知県豊田市での実証実験を重ね、いよいよ本格的なサービス展開のステージに入ろうとしている。

計画では、当初は無償で運行し、2025年以降は有償サービスとして東京都心部へと範囲を拡大していく予定だ。トヨタが2024年に、特定の条件下で人が運転に関わらない「レベル4」による自動運転サービスを始めることを発表した。これは運転手不要のロボタクシー事業を念頭にしており、東京・お台場地区で、当面は無償で運行し、2025年以降は有償で範囲を都心に広げるという。

日産も横浜エリアでの自動運転サービス実用化に向け前進

日産自動車もDeNAとの共同開発による自動運転移動サービス「イージーライド」の実証実験を推進している。日産はDeNAとの共同開発のもと、レベル4技術により自由な移動を実現する新しい交通サービス「イージーライド(Easy Ride)」の実証実験を2018年から神奈川県横浜市内で行っている。

2024年2月には自社開発技術によるドライバーレス自動運転サービスの最新ロードマップを発表し、2024年度にみなとみらい地区でセレナベースの自動運転車両で走行実証を行い、2025~2026年度にかけて同地区や桜木町、関内を含む横浜エリアでセーフティドライバー同乗のもと20台規模のサービス実証を行う計画を明らかにした。

自動運転レベル4とは何か?

自動運転技術をより深く理解するためには、各レベルの違いを知ることが重要だ。自動運転レベルは国際的に0から5までの6段階に分類されている。

【解説】自動運転レベルの分類

  • レベル0: 運転支援なし。すべての運転操作をドライバーが行う。
  • レベル1: 単一の運転支援(アクセル・ブレーキ制御、または操舵制御のいずれか)。
  • レベル2: 複数の運転支援(アクセル・ブレーキ制御と操舵制御の両方)。ただし監視はドライバーが担当。
  • レベル3: 条件付き自動運転。特定の条件下でシステムが運転を行うが、システムの要請時にはドライバーが対応。
  • レベル4: 高度自動運転。特定の条件下で、システムが全ての運転タスクを実行。人間の介入は基本的に不要。
  • レベル5: 完全自動運転。あらゆる条件下でシステムが運転を行う。

現在、市販車において最高水準はレベル3であり、ホンダやメルセデス・ベンツ、BMWがレベル3対応車を発売している自家用車においては、自動運転レベル3が最高峰の技術となっている。ホンダが2021年にレベル3システム「トラフィックジャムパイロット」を実用化したのを皮切りに、メルセデス・ベンツが2022年に「DRIVE PILOT」、BMWが2024年に「Personal Pilot L3」のオプション設定をそれぞれ開始している。

注目のレベル4は原則的にドライバー側に運転が戻されることはありません。さらに言うと人間が不要になる=無人運転を実現できる点で、既存の自動運転レベルとは全く異なりますという特徴を持つ。つまり、限定された条件下(特定のエリアや天候など)ではあるが、人間の介入を必要としない完全自動運転が可能となる。

法整備も進展、レベル4の公道走行が可能に

自動運転技術の進化に合わせて、法整備も急ピッチで進められている。日本政府は2023年に道路交通法を改正し、レベル4の「特定自動運行」を可能にする法的枠組みを整えた。法律面では、国は2020年にレベル3、2023年にレベル4走行を可能にする改正道路交通法などを施行し、自動運転実用化の道を開いた。レベル4運行は「特定自動運行」と定義され、一定要件を満たせば許可制のもと公道走行することが可能になっている。

特定自動運行を実施するには、都道府県公安委員会からの許可を得る必要があり、運行計画を提出しなければならない「特定自動運行」を行うには都道府県公安委員会からの許可を得る必要があり、経路などの運行計画を提出しなければならない。これにより、安全性を確保しつつ革新的な自動運転技術の社会実装が進められる枠組みが整った。

さらに政府は、自動運転の実用化を後押しするため審査手続きの効率化も図っている。政府は、現在は11ヶ月程度かかっている審査手続きを今後2ヶ月ほどに短縮する方針も示しており、公共交通での自動運転レベル4の導入が加速する可能性があります。

自動運転技術の最新動向

自動運転の市場予測

自動運転市場の成長は目覚ましく、特にレベル2からレベル3、4への移行が今後加速すると予測されている。矢野経済研究所が2022年8月に発表した「自動運転システムの世界市場に関する調査」によると、ADASと自動運転システムの世界搭載台数は2021年に4,097万6,019台で、レベル2が1,493万5,260台、レベル2+が86万6,786台、レベル3が100台の状況だった。

さらに将来予測ではレベル1は2023年にピークを迎え、以降減少する。代わってレベル2が主役に躍り出て、2030年には3,675万2,500台まで増加する。2030年には、レベル2+が2,339万9,000台、レベル3が625万2,500台、レベル4も72万6,000台までそれぞれ増加すると予測している。

富士キメラ総研の2024年8月の発表では、さらに長期的な予測として自動運転車の世界生産台数 2045年予測―■レベル3車両 2,409万台 ■レベル4/5車両 2,793万台 レベル3以上は、2024年は30万台だが、2035年以降普及が本格化し、2045年には生産台数の過半数を占めるとの見通しも示されている。

グローバルな開発競争

自動運転技術の開発は世界的な競争が激化している。特に中国と米国が牽引役となっている中国と米国が世界をリードする形でレベル4の実用化に向けた実証実験が進められている。

米国ではWaymoが先頭を走り、Google(Alphabet)の子会社であるWaymoは、自動運転技術の先駆者として知られています。フェニックス(アリゾナ州)での一般向けロボタクシーサービス「Waymo One」を運営。サンフランシスコでの24時間無人運転サービスを開始(2023年)するなど、着実に実績を積み上げている。

中国では、Baidu(百度)が自動運転分野をリードしており、同社は2017年、オープンソフトウェアプラットフォームを活用した「Project Apollo(阿波羅)=アポロ計画」を始動し、多くのパートナーを交えた自動運転開発プロジェクトに着手した。パートナー企業は100社を超え、量産パートナーにはトヨタやホンダも名を連ねている。また、WeRide、Pony.ai、AutoXなどの新興企業も自動運転タクシーの実用化を推進しているWeRideは世界26以上の都市で自動運転の研究開発やテスト、運用を行っており、広州や北京では無人走行ライセンスも取得している。海外では、UAE(アラブ首長国連邦)やモンゴルでの商用化を見据えているようだ。

自家用車における自動運転の進展

一般消費者が利用できる自家用車の自動運転技術も着実に進化している。現在、市販車で最も普及しているのはレベル2のADAS(先進運転支援システム)だ現在、自家用車においてスタンダード化し始めているのは自動運転レベル2のADAS(先進運転支援システム)で、ハンズオフ運転が可能なレベル2+も徐々に対応車種を拡大している。

レベル2では、アダプティブクルーズコントロールとレーンキープアシストにより、自動車の縦方向と横方向の制御を行うが、運転の主体と責任はあくまでドライバーにあるレベル2は、主に前走車に追従して速度調整しながら走行するアダプティブクルーズコントロールと、レーン内の走行を維持するレーンキープアシストによって自動車の縦方向と横方向の制御を行い、安定した走行を支援する。あくまで運転の主体・責任はドライバーにあり、システムを過信してはならない。

自家用車におけるレベル4実用化については、自家用車においては、2020年までに高速道路におけるレベル3を実現し、このレベル3の技術を踏まえ、2025年を目途に高速道路におけるレベル4の市場化を目指す方針だと政府は目標を掲げている。

自動運転技術がもたらす社会的インパクト

【解説】自動運転がもたらす主なメリット

  1. 交通事故の削減
    人為的ミスによる事故を減らし、交通安全の向上に貢献する。
  2. 交通渋滞の緩和
    最適な経路選択や車間距離の制御により、交通の流れが改善される。
  3. 高齢者や障がい者の移動支援
    自動運転技術により、運転が困難な人々にも移動の自由を提供。
  4. 労働力不足への対応
    日本では、少子高齢化のトレンドが顕著に人口動態に表れており労働が不足するのではと懸念されています。その際に、自動運転が実現すればドライバーの代わりに車両を運転するといった労働力不足の切り札になると考えられます。特に物流・運送業界での人手不足解消に期待。
  5. 新たなモビリティサービスの創出
    ロボタクシーや自動配送など、新しいビジネスモデルが生まれる可能性。

課題と今後の展望

自動運転技術の実用化に向けては、まだ解決すべき課題も多い。特に技術面では、悪天候や予測困難な状況への対応能力の向上が求められる。また、責任の所在や保険の仕組みなど、社会制度面での整備も必要だ。

事故が発生した場合の責任問題については、自動運転レベル4においてもドライバーに責任があることは変わりませんが、システムの不具合による事故の場合は保険会社や自動車メーカーなどに保険金や賠償金を求める仕組みを検討するとされています。

また、野村総合研究所のレポートによれば、自動運転技術をさらに進歩させ、機能性と安全性を向上させるためには、車両同士や車両と道路等の社会インフラ間の情報連携するV2Xが重要であるとされている。

さらに、自動運転を社会に広く普及・定着させるためには、国家主導のもと官民が協力し、実証実験を積み重ね、課題を一つひとつ解決していくことが不可欠ですと専門家は指摘している。

まとめ

2025年に向けて、自動運転技術、特にレベル4の実用化が大きく前進している。トヨタや日産を中心とした日本の自動車メーカーも着実に技術開発を進め、政府もレベル4の自動運転サービスの全国展開を積極的に後押ししている。

当初は限定された地域での移動サービスから始まるが、技術の進化と法整備の進展によって、自動運転技術は徐々に私たちの日常生活に浸透していくだろう。そして近い将来、公共交通機関から自家用車に至るまで、自動運転はモビリティの概念を根本から変革する可能性を秘めている。

自動運転技術の発展は、単に運転の自動化にとどまらず、私たちの社会全体のモビリティのあり方を根本から変える革命的な変化をもたらすことになるだろう。